インタビュー: サラ・ホッジさんと日本の男子新体操について話す

Kokushikan Men’s RG sophomore Keisuke Tanaka performing his stick routine at 2018 All-Japan Intercollegiate Championships (Photo: Mitsuyoshi Akiyama / Ouen MRG)

今日のゲストは、japantravelbug(日本の旅大好き)」さん。ソーシャルメディアや、「東京ウィークエンダー」の記事を通してご存知の方もいるかも知れません。しかし、今日は素顔のサラ・ホッジさん(japantravelbugさんの本名)として、彼女が情熱を注いで活動している、男子新体操(MRG)の海外での認知向上についてお話をしてくれます。

Sarah Hodge a.k.a.japantravelbug
ブルク:私のページへようこそ、サラ!まず、読者に自己紹介していただけますか。
サラ:こんにちはブルク、今日はインタビューの機会を頂きありがとうございます!
私は子供の頃から、作家になることと日本に引っ越すという2つの目標を持っていました。その両方を実現できてとても幸せです。
私は幼い頃から読んだり書いたりすることが大好きでした。小学校・高校時代は詩や作文のコンテストに参加したり、フランス語を習得するためにカナダの大学で交換留学生として学んだ時には、短編小説や詩を発表しました。
子供時代、近所にも小学校の同級生にも日本人が沢山いたのです。(私の故郷は日本の自動車産業と強いつながりがあります)。そのせいで、日本のあらゆるものに興味を持つようになりました。高校・大学で正式に日本語を学び、2006年にJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)に応募しました。
2010年から2011年にかけて、6ヶ月間に渡り日本で英語を教えたことがあったのですが、201512月からはフルタイムの英語教師として日本で暮らしています。休日には頻繁に旅行したり、料理教室、着物着付け、茶道、禅の瞑想などの文化体験教室を受講したり、スターズ・アンド・ストライプス紙、東京ウィークエンダー、JNTOといったウェブサイトやブログに旅行や文化の記事を掲載しています。
ブルク:日本の男子新体操(MRG)の歴史を簡単に教えてください。
サラ:男子新体操(MRG)は、70年前に日本で始まったスポーツで、スウェーデン体操、ドイツ体操、デンマーク体操の要素を組み合わせた競技です。1940年代、健康促進のために日本の学校に男子・女子のための新体操の規定演技が導入されました。男子新体操は1947年に開催された国民体育大会で公式種目として採用され、1949年には全日本学生新体操選手権大会が始まりました(1952年には高校総体(インターハイ)の種目となりました)
男子新体操には、二種類あります。4つの手具のうちの1つを使って単独で演技を行う個人と、タンブリング、柔軟性、バランス、同調性が重視される団体です。現在、日本ではジュニアクラブから大学レベルまで、約2,000人の男子新体操選手が活躍しています。兄弟で男子新体操をしているケースも多くて...一卵性の三つ子が全員、新体操選手という家族もいるくらいです!
日本以外で男子新体操が行われている国は、ロシアやスペインを含む数か国しかありませんが、他国の男子新体操と日本の男子新体操には大きな違いがある事は押さえておきたいポイントです。また、男子新体操は現在、体操競技を統括する組織であるFIGには正式種目として認められておらず、そのためオリンピックの公式種目にもなっていません。

Kokushikan Men’s RG senior Takuto Kawahigashi (2019 team captain / 2019 Eastern Inter-College champion / 2019 All-Japan all-around champion ) at Kokushikan’s Tama Festival (Photo: Ouen MRG, November 2019)
ブルク:団体と個人の違いや難しさを教えていただけますか?私はあなたの記事で、男子新体操の個人演技は団体演技ほどよく知られていないことを知りました。その理由は何でしょうか?
サラ:団体演技は、青森大学(青森市)、国士舘大学(東京)、花園大学(京都)などトップレベルの大学チームが海外に招待されることが多く、よく知られているのですが、個人は、チームが海外に遠征/公演をしない限りは、海外で個人演技を披露する機会は少ないのです。団体演技は手具なしで行われ、同調性や複雑な交差技、タンブリングが構成に入ってきますが、試合では、より難易度やリスクが高い要素に加点がつきます。観客が手に汗を握りながら楽しめる種目というわけです。
個人演技では、スティック、クラブ、リング、ロープの4つの手具のいずれかを使います。これらの手具(および演技のスタイル)は、女子の新体操とは異なります。演技時間は、わずか130秒。個人選手は、衣装、振り付け、音楽を自由に創作することができます。選手達は、各演技ごとに個性的な衣装と、それに合わせて装飾した手具を持っているので、観客席から見てもすぐに誰だかわかります。場合によっては、尊敬する先輩 (または年上の兄弟)の衣装を拝借するというケースもあります。
卒業後にシルク・ドゥ・ソレイユやBLUE TOKYOなどのパフォーマンス集団に入ることを選択する選手も数多くいます。
シルクは現在、日本の才能ある男子新体操選手を求めてスカウトを日本に派遣しており、日本の男子新体操選手が持つ、同時性の高いタンブリング技術を活用した新しい演出を生み出したりもしました。実際、ラスベガスで公演されているシルク・ドゥ・ソレイユのショー「Michael Jackson ONE(https://www.cirquedusoleil.com/michael-jackson-one)で活躍するパフォーマーは優れた新体操選手たちで、中には元全日本チャンピオンだった選手もいます。
BLUE TOKYO (http://www.bluetokyo.jp)は、青森山田高校男子新体操部の荒川栄監督と青森大学新体操部の中田吉光監督(共に国士舘大学男子新体操部の卒業生)によって、新体操選手が卒業後も演技ができる場として設立されました。BLUE TOKYOのメンバーは、過去18年間無敗のチャンピオンである青森大学新体操部の卒業生です。

 201712月のワールド・オブ・ダンス・ラスベガスで優勝したり



 2018年にはアメリカのオーディション番組「America’s Got Talentにも出演しました。


ブルク:国士舘大学新体操部との出会いの事を教えてくれますか? なぜ彼らを世界に紹介しようと思ったのですか?
サラ:20176月に山田小太郎監督と国士舘大学新体操部に出会いました。男子新体操ファンの仲間から国士舘多摩キャンパスに誘われたのがキッカケでした。当時、日本の男子新体操に関する英語の情報はほとんどなくて、GoogleYouTubeで何時間も虚しく検索したものです。ですから、日本の男子新体操に関する最新情報を正確かつタイムリーに、英語で書かれた新聞記事として発信する価値があると感じました。その日の午後にチームのインタビューをしましたが、その記事は新聞とインターネットで日本中に配信されました。

Kokushikan Men’s RG Team (Photo: Ouen MRG)
偶然にも、その頃に知り合った日本人の友達が、このスポーツの国際的な認知向上のために男子新体操を英語で発信することに興味を持っていたので、私は男子新体操の動画の字幕や、英語のブログ記事の校正、国士舘大学新体操部の公式ページ(http://www.kokushikan-rg.com)の翻訳にも関わるようになりました。

新体操選手の友人達が長い年月を費やして重ねてきた努力と情熱の成果は、世界中の人々に届けるだけの価値がありますし、この素晴らしい才能を知って欲しいと思っています。




2017年からは、国士舘だけでなく、花園大学、青森大学、青森山田高校、井原高校などの高校・大学の男子新体操チームの世界的認知を高めるために、ソーシャルメディアでの拡散を積極的に推進してきました。井原高校の卓越した柔軟性と、驚くべき演技は本当に素晴らしいのです(彼らは今年の全国高校総体のチャンピオンで、大学生や社会人も参加する全日本新体操選手権で準優勝)。動画の再生回数は2000万回を越え、ソーシャルメディアでセンセーションを巻き起こしました!



私は、多くの男子新体操部の指導者や選手を友人に持っている事を誇りに思っています。男子新体操を支援することは、私が日本で過ごした日々の中で最も素晴らしい活動の1つなのです。男子新体操の指導者やファン(特に選手の家族)の皆さんは、日本でこの競技の支援をしている数少ない外国人の1人である私を温かく受け入れてくれています。
ブルク:国士舘大学の新体操チームを紹介していただけますか?
サラ:もちろん!国士舘大学男子新体操部は、1950年代から活動している日本で最も古い新体操部の一つであり、41人の選手(個人選手16名、団体選手16、控えやサポートの部員9)を持つ、日本のトップチームの一つです。国士舘大学の大学院生も数人おり、学生と一緒に演技をすることはありませんが、ジュニアチームや高校、大学チームの指導を手伝っています。選手達は練習や演技に多くの時間を共に過ごすため、仲の良い家族のような関係です。
山田小太郎監督は高校1年生の時、16歳で男子新体操を始めました。大学時代の4年間と卒業後の2年間、個人選手として活動し、2007年より国士舘大学男子新体操部の監督に就任しました。
山田監督は自ら日本各地を回り、部員をスカウトします。国士舘の選手たちは全員が高校時代からの新体操経験者ですが、新体操以外にも柔道、サッカー、野球、陸上競技などのスポーツをしていた選手もいます。
山田監督の指導のもと、国士舘大学新体操部は常に日本の男子新体操のトップチームの一つとして君臨してきました。国士舘は、特徴的なバランスのポーズ(試合での必須要素の一つ)と、深いストーリー性ある団体演技で知られています。音楽、ストーリー、ユニフォームは慎重に選ばれ、時には卒業生が振り付けや新しい演技の構成作りを手伝う事もあります。今年度の個人高校チャンピオン、森谷祐夢選手、全日本チャンピオンの川東拓斗選手など、国士舘は多くのトップ選手を輩出しています。




普段の練習時間は、平日は16:3022:00、週末は9:0021:00です。スプリングマットが使える時間は、個人選手のグループと団体選手のグループがそれぞれ練習を行います。また、国士舘ジュニア、高校、大学の3つのチームが同じ場所で練習しています。ウォームアップは約1時間かけて、ストレッチ、筋力トレーニング、基本的な体操を行います。



高校では、個人と団体両方の演技をしている人もいますが、大学レベルとなると、過酷な授業と練習の両立は厳しく、個人と団体の兼任は難しくなります。

Kokushikan Men’s RG sophomore Keisuke Tanaka performing his clubs routine at 2018 All-Japan Intercollegiate Championships (Photo: Mitsuyoshi Akiyama / Ouen MRG)
国士舘の、完璧にシンクロした息をのむようなパフォーマンスを見ている観客は、選手たちがこれらの演技を作りあげる為に気の遠くなるような時間をかけ、練習と細かい微調整を重ねてきたことを知りません。私個人は、完成された演技を見る時と同じくらい、練習の過程を賞賛の気持ちを込めて見ています。
読者の皆さんには、2本の英語字幕付きドキュメンタリー動画を見て、舞台裏がどんなものなのか感じていただけたらと思っています。これは、国士舘大学が準優勝した2018年全日本新体操選手権の直前に、「応援!男子新体操」が撮影したものです。
パート1 (個人選手):

 
パート2 (団体選手) : 


 
ブルク:この記事を読んだ読者が、国士舘大学新体操部をサポートする方法はありますか?
サラ;山田監督は、世界中の方々に国士舘大学新体操部のパフォーマンスを見て欲しいと言っています。チームはイタリアのフェスティバル・デル・ソーレ(https://www.festivaldelsole.it/)、フィンランドでの世界ジムナストラーダとAGG世界選手権、アトランタの「Paws for a Causeなどの海外イベントにしばしば招待されています。




山田監督によると、国士舘大学新体操部にとって思い出深いのは、2016年と2018年の、フェスティバル・デル・ソーレだそうです。地元イタリアのプレスが「空飛ぶサムライ」と名付けた国士舘の卓越した演技(長縄、個人の手具、タンブリング、バランスと柔軟のポーズを取り入れたもの)は、4日間のフェスティバルで1万人の観客を魅了しました。



山田監督と部員たちは海外公演のほか、外国人選手やコーチ向けの男子新体操ワークショップを開催しており、それによって男子新体操がもっと海外で行われるようになる事を願っています。

2019:
次の海外遠征は、1128127日にドイツ各地で開催されるGymMotion(https://www.facebook.com/ouenMRG/videos/1142665225935996/)です。



詳細はこちらのサイトでご確認ください。
今後の情報は、国士舘大学新体操部の公式サイト(www.kokushikan-rg.com日本語)をご覧ください。
日本の男子新体操を、国士舘大学男子新体操部の友人達を応援してくださって、ありがとうございます!!
ブルク:サラ、今日はありがとう!私も、国士舘大学新体操部の非公式サポーターとして応援しますよ!
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Kokushikan RG official homepage 
国士舘RG公式ホームページ: www.kokushikan-rg.com

OuenMRG
応援!男子新体操 (日本の男子新体操チームの写真や英語字幕付きの試合映像)
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www.instagram.com/ouenmrg
Youtube:
https://www.youtube.com/c/OuenMRG
(協力:国士舘大学新体操部山田小太郎監督、伊藤ジュリア有希と松本広美(翻訳)、写真と動画の使用許可を下さった秋山光良と「応援!男子新体操」。感謝を込めて、ありがとう!)


For English article:http://www.authorburcu.com/2019/11/interview-with-sarah-hodge-about-japans.html
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